神 姫 バ ス の 歴 史 〜 そ の 1 〜


1.創業期
 神姫バスが開業したのは、1927年(昭和2年)8月8日です。当時、兵庫県内には既に多数のバス事業者が存在し、多くの路線を走らせていた。そんな中、当時の兵神タクシー専務取締役である木下栄氏によって、宇治川電気株式会社(現在の関西電力)の資本で創立された。

 当時の社名は、神姫自動車株式会社で、神戸市須磨区御屋敷通3丁目2番地に本社を置き、資本金は20万円、従業員数15名(うち運転士6名車掌1名)、車両はバス1台にタクシー3台というものだった。
 そして、記念すべき第1号路線は、加古川〜尾上間3.2キロであった。この路線は、元々杉本自動車の路線であった。

 先に、木下栄氏によって創立されたと述べたが、創立時の役員の中に彼の名前は無く、彼が役員になるのは12月15日のことであり、役職は神姫自動車株式会社の代表取締役(初代社長)である。

 木下栄氏は、当然この1路線で満足しているわけではなく、次なる仕事が待ち受けていた。それは、周辺自動車会社の吸収合併である。会社創立後、僅か3ヶ月で社自動車運輸株式会社との合併話が成立し、昭和3年1月12日に吸収合併した。社自動車運輸株式会社は、社町に本社を置き、社〜加古川・社〜相野・社〜天神・社〜大門の各路線を営業していたので、神姫自動車は一気にこれらの路線を手中に収める事に成功した。

 その後、昭和3年1月25日には、電鉄高砂〜高砂海岸間を運行していた高砂運輸株式会社を、2月28日には三木〜東二見・稲美町〜宗佐・阿閇村(現在の播磨町本荘付近)〜野添の各路線を運行していた播磨運輸株式会社をそれぞれ買収した。
これにより、東播地区の地位を確立した神姫自動車は、昭和3年3月19日に本社を、加古郡加古川町篠原町23番地に移転させた。

 神姫自動車が、短期間にこれだけ躍進できたのは、当時の自動車会社のほとんどが時間に不正確だったのに対し、時間を正確にし、接客サービスを向上させ、運賃を値下げするといったことが功を奏し、地域住民の理解を得られたからである。

 こうして、神姫自動車の基礎固めは完了したのである。

神姫自動車本社のあった須磨区御屋敷通3丁目2番地(現在は長田区)
近くには、山陽電鉄の本社もあることから、この地に本社が設けられたと思われる。

昭和3年に、神姫自動車が加古川に本社を移転させた。
現在は、ベルデモール商店街の一角となっている。